転職するならこんな調剤薬局~在宅・24時間対応だけが「かかりつけ薬局」の使命じゃない。

転職するならこんな調剤薬局~在宅・24時間対応だけが「かかりつけ薬局」の使命じゃない。

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「地域で最も信頼される健康サポート薬局」がコンセプトの薬局チェーンを取材して感じたこと。

私が初めて薬剤師の取材をさせていただいたのは、調剤専門店、ドラッグストア、調剤・ドラッグストア併設店という3つの形態で10店舗を首都圏で展開するF薬局。先日、転職サイトの取材でひさしぶりにお邪魔させていただきました。

チェーン薬局の取材では、旗艦店を含む複数店舗の薬剤師(新人、若手、管理薬剤師などバリエーションをつけて)に話を聞くことが多く、今回は3名の女性薬剤師に登場していただきました。人はそれなりに入れ替わっていますが、この薬局、相変わらず素敵な女性薬剤師が揃っています。

採用担当者は「たまたまですよ」と笑っていましたが、経営戦略であることは明白。ちなみにWeb媒体で男女問わず、20代~30代の経験者をたくさん募集したい時は、最も目立つ場所にフォトジェニックな女性を配置するのがセオリー。採用担当者もそれをよくわかっているのでぬかりなし、といったところです。

それはさておき、このチェーンの調剤専門店には在宅療養の専門チームがありません。それぞれの薬剤師が、外来業務と折り合いをつけながら在宅の患者を受けもっている、ということもありません。ドラッグストアを含むすべての店舗を訪れる一人ひとりの患者としっかり向き合うのがこの薬局チェーンの方針で、特に力を入れているのは居心地の良さの追求と、セルフメディケーションの推進です。具体的には、待ち時間を心地良く過ごしてもらうための店舗改装や、アンチエイジング講座の案内・実施がそれにあたります。また、数年前からはヨガスタジオの運営も行っています。

コンセプトは「地域で最も信頼される健康サポート薬局」。病気になった患者のために調剤・投薬指導を行うだけでなく、病気を未然に防ぐためのお手伝いを薬剤師が中心になって進めましょう、というのがこの薬局の理念なんですね。地域包括ケアの一翼を担うという使命感に燃え、自宅や福祉施設で療養中の高齢者をサポートする在宅療養に注力する薬局とは対極に位置しているように思えますが、在宅患者のサポートを否定しているわけではありません。むしろ積極的に関わってきたと言えます。

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セルフメディケーションの推進も、2025に向けて厚労省が推進する「かかりつけ薬局」の条件。

F薬局の創業は、薬剤師法も医薬分業の考えもなかった1700年代。資料がありませんので当時の薬舗と患者の関係は想像するしかありませんが、薬を渡した患者の予後が気になるから薬剤師が自宅を訪問する。患者の家族が薬の服用について薬舗へ相談に来る。あるいは、健康で長生きするためのに食事について一緒に考え、試してみるということは珍しくなかったのではないでしょうか。

そして現代。F薬局の薬剤師は、在宅療養支援が本格的に始まる以前から、仕事のやりがいについてこう話していました。
「セルフメディケーションの講習会に参加される方が増えているのがうれしいですね。次はどんなテーマでいこうかと考えるのも楽しいです。患者さんによっては薬を自宅へお届けすることもあります。薬の飲み残し、飲み忘れを解決する方法を患者のご家族と一緒に考え、患者とご家族にとって最高の結果が得られた時、この仕事をしていて良かったと思います」

今、社会的な意味での「かかりつけ薬局」は、国民の3人に1人が高齢者となる2025年に向けて厚労省が推し進めている地域包括ケアにおける調剤薬局のあり方です。「かかりつけ」と聞けば多くの人が『24時間対応』『在宅対応』をイメージすると思いますが、このF薬局のようにセルフメディケーションを推進する「健康サポート薬局」も「かかりつけ薬局」に含まれています。

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『24時間対応』『在宅対応』で気力と体力を削り取られてしまった薬剤師が再び立ち上がれる場所。

以下は第17回日本在宅医学会もりおか大会(2015年4月)のパネルディスカッションで厚労省の中井薬剤管理官が語った「かかりつけ薬局」に関する記事の抜粋です。

医薬分業の過程の中で、調剤業務を重視する、いわゆる調剤偏重も指摘されるが、地域包括ケアの推進が求められる中で、「OTCや衛生材料、健康食品などすべてをあわせてセルフメディケーションを考える」ことがかかりつけ薬局としては重要との考えを示した。昔の薬局は、地域に根づき、住民が気軽にOTCの選択や健康に関する相談ができたと説明し、高齢化が進んだ地域に根づくために、患者に一番最初に接する“ファーストアクセス”を強化した「昔の薬局に戻れと言っている」と述べた。
(出典:ミクスOnline)

私にはこの記事でいうところの「昔の薬局」であり続けているのがF薬局だと思えてなりません。地域におけるチーム医療の確立を目指す医師や看護師、ケアマネジャーにしてみれば、無菌調剤室をもたない(終末期ケアに必要な輸液の調合ができない)薬局に物足りなさを感じるかもしれませんが、前のめりになって『24時間対応』『在宅対応』を進めた結果、気力と体力が削られ、心が折れてしまっては本末転倒です。

地域包括ケアに貢献して、薬剤師も守ってみせる。10代目の若き経営者が信念をもってチェーンビジネスを展開しているこそ、F薬局は「健康サポート薬局」として存在感を放ち続けているのでしょう。3代にわたってお世話になっているという住民が処方箋をもたずに立ち寄っていく薬局は、『24時間対応』『在宅対応』で気力と体力を削り取られてしまった薬剤師に、再び立ち上がる力を与える――。そんな効能があるのではないかと思います。

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