調剤薬局の薬剤師の転職・復職は、在宅療養とどう関わるかがポイント。

調剤薬局の薬剤師の転職・復職は、在宅療養とどう関わるかがポイント。

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10年前、在宅療養に取り組むことを明言し、経営と教育体制の改革に着手した調剤薬局チェーンの現在。

調剤薬局の薬剤師が転職を含めたキャリア形成を考えていくうえで、今、最も大きなポイントになっているのは在宅療養との関わりだろうと思います。私が人材採用に関する取材・執筆を継続的に受注している首都圏の調剤薬局チェーンの経営者は、大手薬局の薬剤師でさえ手探りだった10年前、在宅療法と積極的に向き合うことをいち早く明言し、経営・教育体制の改革に着手。現在は全店舗(20店舗)で在宅療法支援に取り組んでいます。

しかし、すべての薬剤師が在宅業務を担当しているわけではありません。この会社では外来の経験しかない薬剤師の配置転換を最小限にとどめ、「国民の3人に1人が高齢者となる2025年までに1万人の在宅患者を支える体制をつくる」という同社の信念に共感した新卒者の採用に注力。1日数百枚もの処方箋を受付ける大学病院門前の旗艦店を軸に、入社1年目から複数の店舗で外来・在宅とも手厚いサポート体制のもとで臨床研修を実施。そのうえで再度、希望する仕事を確認をして、意思が変わらない人だけを自宅から最寄りの店舗の在宅専門チームに配属する、という方法をとっています。

超高齢化社会を支えていく。使命感に燃える若手薬剤師はまぶしいほどの存在感。

在宅チームのマネジャーによると、スタートした当初は「インフルエンザに罹った子どもが薬局に殺到しているのに出かけるのか」と非難する声もあったらしいですが、薬剤師の仕事に上も下もないのは誰もがわかっていること。課題は話し合いによってひとつずつ解消し、現在はほぼ完全に外来と在宅の分業化を確立しています。

一日中、自分で車を運転して患者の自宅や高齢者福祉施設を訪問する体力があり、超高齢化社会を支えていくという使命感に燃える若手薬剤師の存在感はまぶしいほど。地域社会のニーズに数がまったく追いついていない現状でもあり、医師や看護師、ケアマネジャーと信頼関係を構築できている薬剤師であればこの先、思い描いてきたキャリアアップを実現するチャンスは十分。スキルの証明となる在宅療養支援認定薬剤師の認定を得ておけば、その可能性はさらに広がります。評価や報酬に不満があって転職を考えている人も、診療報酬と介護報酬が同時に改定される2018年までは様子をみるべきでしょう。

いろんなポジションがある調剤薬局だったから職場復帰が叶った。

ところでこの会社には在宅専門の調剤センターもあり、外部の人たちと接触せず在宅医療用の調剤業務に専念している薬剤師もいます。倉庫に近い雰囲気だったのでついネガティブな印象をもちましたが、もともとこの方(30代の女性)は自宅・福祉施設など1日に5~6件を訪問して服薬指導および在薬管理を行っていたとのこと。地域包括ケアの担い手として、医師、看護師、ケアマネジャー、患者のご家族と連携して高齢者の在宅療養を支援することにやりがいを感じていたと言います。

しかしその一方で、相手の気持ちをくみ取り、こちらの考えを正確に伝えるという意味でのコミュニケーション力不足と体力不足を実感する場面も少なくなく、結婚・出産を機に在宅専門チームの調剤業務に専念したいと申し出たそうです。
「新卒の時は働き方を変えることまで考えていなかったのですが、いろんなポジションがある会社でよかったと思っています。薬剤師が少なく、外来の合間に在宅患者を受け持たなければならない調剤薬局だったら、職場復帰はできなかったでしょうね」と柔らかな表情で話してくれました。

在宅療養と「かかりつけ薬剤師」は一体。転職に必要なのは覚悟。

近い将来、転職して在宅療養の担い手となりたいと考えている薬剤師に必要なのは「覚悟」でしょう。なぜなら、2016年に制定(2018年改定)された「かかりつけ薬剤師」制度と在宅療養支援は一体だからです。加えて、現在の報酬体系では在宅に軸足を置いて経営のバランスをとるのは容易ではなく、薬剤師には採算性を踏まえて行動することが求められます。

参考までにいえば、この会社では入社3年目の女性が30名の患者を担当。月間の訪問回数は150件超えています。彼女自身は多くを語りませんでしたが、そこが採算ラインなのでしょう。チームで取り組むにしても数字が低いメンバーがいれば誰かがカバーしなければならないし、24時間対応への重圧は並大抵のものではありません。

また、女性薬剤師にとっては、男性宅を訪問すること自体がリスクになり得ます。高齢の患者とはいえ、相手は男性。転職サイト用の記事には絶対に書けませんが「訪問先で出された飲み物にはけっして口をつけてはいけない」という笑えないルールもあるほどです。

それでも薬剤師として在宅療養を支援したいという方は、
(1)在宅療養支援認定薬剤師のバックアップ体制が整っている薬局
(2)在宅専門チームの設置、受け持ち制など在宅業務を遂行する体制が固まっている薬局 を探しましょう。
薬剤師と地域の在宅医療との係わりは、10年前から始まっているということを忘れずに。

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